未来を奪い取る行為。

アメリカやイギリスが、「日本化」している・・・
そのような声が聞こえ始めている。
しかし私は、先進国は10年以上も前から行き詰っていたと考えている。
理由は若年労働層の失業率に端を発している。


多くの先進国の若年労働層は職を得ていない。
日本においては10%ほどが失業しているといわれているが、これは再就職先を探している若者のみが当てはまる。
この2倍以上が実質の失業率であろうとも言われている。
20%とすると5人に1人が失業者である。恐ろしい話だ。
30〜40人ひとクラスだった小学校時代。
同窓会をやると、6〜8人が職を得ていない時代なのである。


そして、仕事をする事に希望を見いだせない人々がたくさんいる。
まさにその通りだ。仕事自体が希望を運んでくれることはなくなったのである。
30年前40年前は仕事自体が希望だった。
右肩上がりは約束されていた。
どんな事があってもその職にしがみ付けば、しがみ付く事こそが希望だった。


しかしその希望は崩壊しているのである。
もはや雲をつかむようだ。
つかんだと思ったらつかんでいない。希望は手に入らなくなった。
希望は外部からはやってこない時代となったのである。
まさに個人の時代である。
個人主義の時代とは希望が与えられない時代である。


外から希望が与えられなくなっても人は生き続けなければならない。
そのため、我々は希望を自ら作り出す必要が出てきたのである。
希望を作り出す。主にそれはハリボテの希望だ。
誰に支えられているわけでもなく、誰に保証されているわけでもなく、自分自身で保証しなければならない。
そのために、今まで以上にその希望を支えなければならないし、その希望を信じる必要がある。
自分を信じる強い心が必要なのである。


問題はその希望は果たして何なのかという事だ。
それは私は未来であると思っている。
ところが、現状のシステムは未来を破壊し、現状を維持するために多大なコストが支払われている。
これが、現実と理想の最大のギャップであり壁になっている。
正確に言えば、未来を現実が食いつぶしている。
何がここまで世界を食い潰しているのだろうか?
私自身、時折、強烈な閉塞感を感じる事がある。
この閉塞感はどこからやってくるのだろうか?
若者から未来を奪い取っている本当の相手はいったい誰なのだろうか?