デザインが世界を変えない理由

デザインは世界を変えない。
この言葉を発し始めてどれくらいになるだろうか。


正確には、デザインは世界を変えることが出来ないのだ。
それは何故か?


デザインは他人の欲望を再現するツールだからである。


ツールは世界を変えることはない。
私はTwitterは世界を変えないと言ってきた。
ドラッガーは「ネット自体が創造的破壊をもたらす事はない」と言った。
コトラーは「次なる真のイノベーションはインターネットとはかけ離れた分野で起こるだろう」と言っている。
ツールそのものは世界を変えるようなイノベーションを起こすことはないのだ。
更に他人の最大の具現化である「世界」に対して、他人の欲望をドレだけ再現したところで、その「世界」に如何なる影響を与えるというのだろうか?


そう、デザインは世界を変えないのである。アートとは違う。
デザインには、その人自身のオリジナリティは皆無である。
デザインは他人の意志と望みを叶えるツールでありスキルでもある。


「デザインで世界をかえる」というのは、「他人の欲望を自分が思う欲望に無理やり変化させる事」に他ならない。
それがデザインの使命なのだろうか?それがツールとしての“振る舞い”なのだろうか?
その事自体に価値はあるのだろうか?


デザインはツールであり、それ故にツールという視点においてとても価値がある。
デザインは現在の“世界”において価値のあるものである。
現在の“世界”で価値を持ったものが果たして新しい“世界”を望むのだろうか?